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「え、…っ…あ…」
どうしよう──…っ
目を閉じたアサドの横で愛美はあたふたとしている。
確かにこれはアサドのベットだ──
今まで何も気にせずに一人で寝かしてもらっていたけど…
そう戸惑いつつも、愛美は眠りに入るアサドを見つめた。
そう言われてみれば、今までどこで寝ていたのだろうか。
シャワーを浴びたばかりらしいアサドの短い髪は、少し水気を含みシットリと黒く濡れそぼっている。
半端に腰まで掛けた灰色のシーツから覗く、白いバスローブから肌けた胸元はやっぱり色っぽい。
「いやいや見ちゃイケナイ──…」
何故か焦りながら小さな独り言をブツブツ呟く愛美をアサドは目を閉じたまま笑っていた。
「寝るだけだ。何もしないから早く横になれ」
「………」
目を閉じたままで笑いながら言われて愛美は恥ずかしくなった。
それじゃあと愛美はゆっくりとシーツに再び潜り、コロンとアサドに背を向けた。
大きなベットでよかった……
何気にドキドキしながら愛美はそう思った。
背中に何となくだが人の温度を感じる──
それはドキッとするよりも安心感に近い温かみだった。
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