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一人で眠るよりも何故かホッとして愛美は瞼を閉じる。
そしてギシッと軋んだベッドの揺れに目を見開いた。
「……──」
アサドが寝返りを打ったのだろうか?愛美はふと後ろを振り返る──
「──…っ…」
こちらを向いて目を開けているアサドと視線が合って愛美は慌てて背を向け直していた。
「…柔らかいな…」
「───っ」
アサドの大きな手が愛美の後頭部を撫でて栗色の髪に触れる──
猫っ毛に近い毛質は枕に寝るとどうしても絡みやすく、アサドの指先はそれをほぐすように優しく何度もとかす仕草を繰り返した。
愛美は髪に触れるアサドの指先に胸が騒いでいた。
ドキドキしながら目をギュッと瞑る。
背後からの刺激はほんの少しのことでも敏感に感じてしまう──
それは生き物故の本能なのだろうか。
何となく…
最初に思った時よりも体温を近くに感じてしまう。
そう気付いた途端、バスローブから肌けたアサドの胸元の熱い生肌が背中に押し当てられて、愛美の衣服を通してその温度が伝わった。
アサドの大きな手が腰に廻り、愛美をゆっくりと引き寄せて強く抱き締める──
「──…っ」
「大丈夫だ…これ以上はない…」
愛美の緊張した背中にアサドの低くて熱い声が甘い吐息を漏らしながらそう囁いていた。
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