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「嘆くって…な…んで」
ペットにした性奴に飽きて使用人に格下げした。
沢山いる中の庭掃き使用人が1人居なくなるだけだ。
それをあの人が何を嘆こう…
「……っ…あの人が嘆くなんて…ったぶん、帰国したことも気付かないはず…」
「………」
ふいに上擦る声で愛美の口から返された。アレフはソファに沈めた体を前に起こしていた。
「ザイード様がこちらに来たはずでございます」
愛美は頷き返す。
「何故来たかはご存知で?」
愛美はその問い掛けにうつ向いた。
確か部屋の入り口で落とし物を返して貰えば帰ると大きな声で言っていた──
その剣幕が怖くて何故か身を隠し、そして見つかって身ぐるみを剥がれた…
使用人になってからあの人の鋭い表情しか目にして居ない──
地下牢で愛撫を受けたあの日からザイードの自分を求めるような熱い眼差しは全く見ることがなかった。
“何処にでも行けっ──他の手垢が付いた女なんぞ穢いだけだっ…”
「………」
“国の客なら俺には関係ないっ…”
「……っ…」
愛美は痛む胸元を押さえて急に顔を歪める。ザイードの吐き捨てた言葉が愛美の胸を締め付けていた。
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