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さらに翌日。
ノーチアサンさんは、灰色の雲から出て地上へ向かった。
灰色の雲は成層圏エーロゾル。
火山の噴火によって放たれた二酸化流黄ガスが硫酸水滴になった。つまり酸性雨の雲だ。
この火山噴火自体、宇宙人の攻撃によるものだそうだ。
僕は今、船の一番高いところ、艦橋にいる。
数人の士官・・・・・ぽい生徒と共に、いかにも司令部、CIC(コンバット・インフォメーション・センター)な部屋にいる。
そこで席をあてがわれている。
サフラさんもいっしょだ。
「南さん、調書を描いていただいた時点で、あなたのお仕事は終わりです。
これからの作戦をご覧になって、途中で帰ってしまわれても、それは喜ぶべきことです。
これまでありがとうございました」
僕も、頭を下げた。
「そうですか。こちらこそ、ありがとうございました」
今僕が着ているのは、全身を覆う黒いプロテクター。
しかも、機械で体力をサポートしている。
本物のパワードスーツだ!
それとヘルメットと、腰のポーチに入ったガスマスク。
これらも生徒会の手作りらしい。
CICには多数のモニター。元いた地球では見たことのない、立体映像まである。
地上の様子は、そこに映されていた。
雲を突き抜けると、格子状に並んだ大通りが見えた。
大通りを挟んで近代的なビルが並んでいる。
元は整然とした大都市だったのだろう。
それが今は、崩れたり、焼け焦げたりしている。
そのど真ん中に、ノーチアサンさんは降下している。
木を隠すなら森の中。人を隠すなら人の中。
自動で書き上がったような調書を読んだ時、僕が思い出せたのはその一言だった。
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