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見晴らしのいい窓には、灰色の空しか見えない。
その空を、全長30メートルの戦闘機形態に変形したオルバイファスさんが飛んでいる。
3日間チェ連にいて、わかったことがある。
彼がこの船にいる人々のリーダーのようだ。
宇宙傭兵団ロボリューション。
そのリーダーがオルバイファスさんの前の職業だ。
いくつもの惑星間戦争で決定的勝利をものにし、“外敵から守るため、やむなくある星を指揮下に置いた”経験を持つ。
でもそれは、侵略というのではあるまいか。
以前本で読んだ、ヤクザの誕生物語を思い出した。
徳川 家康が江戸にやって来た時、周りは広大な沼地だったそうだ。
家康公は、そこへ大勢の労働者を呼び寄せた。
当然、若くて力の強い男ばかり。
人が多ければ、喧嘩も多くなる。
家康公は強い人に力で押さえつける権利を与えた。
それがヤクザの始まりだったらしい。
いけない。もっと落ち着かないと。
さっきから僕の手は、レミュールさんから教わった魔法陣の練習を反芻している。
まず丸を書く。
円熟という言葉があるように、この丸は魔法の力をためておく器。その概念だ。
今は練習だから、手で払って消す。
次に、“火”と書く。
自分が火であるように、強く、強くイメージしながら。
書かれた文字は、空中でオレンジ色の火となった。
すぐに散ってしまう、はかない火だが。
先ほどの円の中に火を書き入れると、器の中で火の概念が安定する。
すると……あ! 円消すの忘れた!
ボムっ!
火は瞬く間に大きく育ち、瞬時に自動消火装置が作動した。
天井からロボットアームが降りてきて、二酸化炭素が吹き付けられる。
二酸化炭素が温暖化を引き起こす、温度を吸い取るって、ほんとだね。
寒い!
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