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爆炎が、大きく波打った。
中から現れたのは、ワニのような大きな口。
しかも、本物のワニよりはるかに巨大なそれは、ノーチアサンさんの舳先にかぶりついた!
バリアシステムは火花をちらして阻む。それでも牙は離さない。
口は、大木のような質感を持つ長い触手で支えられていた。
触手はいかなる筋力を持つのか、ノーチアサンさんに巻き付くと、締め上げてきた!
『愚かな……』
ノーチアサンさんはそれだけ言った。
満艦飾よりも明るく光らせていたバリアが、その光を増した。
それだけで、触手が信じられない圧力をうけてちぎれ飛んだ!
ワニの口はかろうじて食らいついているが、あごは不自然な空き方をしてぶらぶら揺れている。
『しぶといな。だが火器さえ使えれば』
灰色の船体が開いて、中から長い筒のようなものが見えた。
それは、大砲だった。
しかも、得体のしれないエネルギーを弾とする。
1、2発唸りを上げると、ようやくあごは外れた。
ノーチアサンさんは、そのまま上昇を続けた。
だが下では、信じられないことが起こっていた!
落下していく触手が、つながっていく!
筋肉や神経だろうか?
破片の切れ目から伸ばしあったそれが、結びつき合っていく。
たちまち触手が復活した。
しかも、以前より太くなっている!
ビルの跡地では、爆炎が消えていく。
消火活動の賜物ではない。
巨大なあいつが、踏み荒らしたあとだ。
あいつは、カオス・混沌そのものに見えた。
さっき見た翼や腕が、なんの脈絡もなく、ある一点から伸びている。そんな感じだ。
縦にも横にも奥行きも、100メートルを超えているかもしれない。
周りには、小さな怪獣たちが近づいてきた。
こっちはティラノサウルスやライオンなど、まだわかりやすい姿をしていた。
……あれ?
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