かき揚げ丼 フロンティア

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「わたしは大丈夫です……」  そう言ってレミュールさんは手を見せた。  その木でできた手には傷一つなかった。  様子を見て、オルバイファスさんは安心したようだ。  そして僕に向き直り。 「ちょっと待ってろ」  そう言って壁に向かった。  そして、はめ込まれたキーボードを操作する。  すると天井が、風船を膨らませるように広がり始めた。  同時に、床がエレベーターとなって下がり始めた。  壁のふちに床が輪っかとなって残り、内側からは柵が現れる。  エレベーターは、たっぷり10メートルは下がって止まった。  現れた壁も、きれいな木の板張りだった。 「これから変身する。離れてろ」  これを聞いて、僕とレミュールさんは素直に従った。  エレベーターの中心にオルバイファスさんだけが残る。  彼の体から、光が放たれた。  光は、数百のピストルを乱射したような音と共に、直径10メートルはあるドーム状に変わる。  そして、まるでシャボン玉のように割れた。  中から現れたのは、巨大な黒い巨人だ。  巨人が機械音と共に立ち上がる。  たくましい男性の姿をした、金属の集合体。  身長20メートルはある巨大ロボット。  それがオルバイファスさんの正体。  その右腕も人間そっくり。  と思ったら、手が腕に取り込まれた。  そして、巨大な筒が飛び出した!  明らかに大砲だ!  彼は、左手で大砲の機関部らしき場所をいじりだした。  ガコン! と、重い金属音と共に、なにか細長い、と言っても太さ60センチはあるものを取り出した。 『これを折ってみろ』  先ほどより大きく、低くよく響く声。  そして差し出された物は、明らかに大砲の玉だった!! 『レールガンだ。火薬の類は入っていない。安心して折れ』  へえ。
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