かき揚げ丼 フロンティア

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「なあ。魔法なら、かけられた目的があるんじゃないか? 」  その時、オルバイファスさんが人間の姿に戻りながら声をかけた。 「小説を書き上げるのに必要な事をさせる。それしかないだろう。それは取材だ」  僕が書こうとした小説は、異世界召喚物だから、理屈は合うと思うんだけど。 「待ってください! 彼は異能のない世界からきたんですよ!? 」  そう!  レミュールさんの言うとうり、僕に異能を使うノウハウなんかない。  それでも、オルバイファスさんは考えがあるようだ。 「彼は、自分を信じて臨んだからここにいる。それが前提なら、信じる心がなければ魔法が消えてしまうではないか。だから我も、南を信じることにする」 ――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――◆――  その夜、ノーチアサンさんの胴体にある食堂に通された。  まさに戦艦の中らしい。  ならぶ長テーブルで、40人近い生徒会と士官候補生たちと、寄り添うように固まった。  それにしても、滅亡寸前の世界にしては豪華な料理が、すし詰め状態に並んでいる。  ……というより、飛び切り新鮮な材料を、腕によりをかけて生き生きと作ってないか?  生の果物や刺身まである。 「最近、日本と小規模なポルタが開いたのよ」  そう言ったのは、自慢げに笑う日本人の少女シェフ。  胸に城戸 智慧と書いていた彼女の足は、ギブスで固定されており、電動車いすに乗っていた。  以前の戦いで負傷したらしい。  えーと、ポルタって、次元を超える門の事? 「そうよ」  それにしては、あの二人の生徒だけ違う物を食べてるようだけど?  味の濃そうなスープに入った、缶詰みたいじゃない? 「ああ、あの二人はタンパク質の形が地球人とは違う、異星人なのよ」  その2人は、見た目は地球人の男女そっくりだ。 「擬態だよ。ロボットの体に、次元湾曲機能を使って入ってるんだ」  彼らは気にするな。というように笑いかけながらそう言った。  オルバイファスさんもいっしょなのか。
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