かき揚げ丼 フロンティア

8/25
前へ
/25ページ
次へ
 テーブルの前には、申し訳程度のステージがある。  まずは、生徒会長ユニバース・ニューマンさんのあいさつ。  金色の髪はショートボブ。  透き通るような青い瞳。  そしてグラマス美女だ。 「わたしたちも、学園に帰れるめどがつきました。あなただって、きっと帰れますよ」  こういうのを、身に余る待遇というのかな。    続いて、大音響のロックが聞こえてきた。  ギター兼ボーカルとベースの二人だけのミニコンサート。  ベースは音楽部の部長、竜崎 舞。  ショートカットの黒髪に、大きな瞳が可愛い少女だ。  異能力のせいで言葉がしゃべれないというハンデを抱えながら、その腕前で16歳の1年生で部長に就任した才女。  ギター兼ボーカルは彼らの地球の人気アイドル、真脇 達美。  アイドルは、赤い髪に猫耳としっぽをつけた女の子の姿をしていた。  何と真脇さんは、わき腹にエレキギター用のアンプがあり、そこにコードを差し込んでいた!  口から流れるのは歌とギターの音色。  もしや、これこそが猫型ロボットか!? と思ったが、事故で体を失った猫に機械の体を与えたサイボーグだった。  彼女は生徒ではなく備品、つまり正式にはペット扱いらしい。  まさか、ネズミの大群と闘ったり!? と思ったが、あちらの世界の猫は魔法の細かい流れが見えるらしく、教材としてらしい。  ミニコンサートなのに、そこは素晴らしく別世界のようにきらびやかに見えた。  明るい、希望に満ちた歌。  少し勇気づけられた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加