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「ちなみに私のパンツの色は黒です」
「言うのかよ! 聞いてないし! 意外だよ!」
「変態!!」
「自分で言ったんだからね!」
ぜーはぜーはーと肩を息をしながら叫ぶ。
「先輩はいつでも楽しそうですね」
「そんな公園で遊ぶ子供を見る親のような顔で僕を見るな……」
「ちなみに、先輩が私に話しかけるのはセクハラですからね」
「話しかけるだけで!? もはやそれは言葉狩りだよ!」
「セクハラって被害者が嫌がっていて初めてセクハラになるそうでうしょう。つまり私が嫌悪感を覚えたら先輩のどんな言葉でもセクハラです」
「暴論が過ぎる……。何も話せなくなるじゃないか」
「そもそも先輩は顔がセクハラなので、何も言わなくても一緒ですよ?」
可愛く首をかしげて不思議そうに僕を眺めてくる。
「ひかりさん。人権って言葉知ってる?」
「当然ですよ。ミジンコ以下の脳みそしか持ってない先輩と一緒にしないでください」
「お前は僕を貶めないと言葉が話せない病気かなんかなのか?」
「そもそも人権っていうのは人に与えられた権利なんですよ」
「ああ。なんかもう言いたいこと分かった……」
がっくりと肩を落としてつぶやく。
「先輩は人じゃないので人権はありません」
はっきりと笑顔で言いやがった。
「ムゴイ」
言い返す元気すらなくなってきた。
「というか、こんなギリギリの状況でよく冗談なんて言えるね」
「私は一度も冗談なんて言っていませんが?」
「僕に対する暴言は冗談であれよ」
「そもそも、こんな状況ってどんな状況ですか?」
やれやれと呆れかえった顔で僕を見てくる。
「いや、まるで暇な放課後みたいな顔で会話しているけど、僕たち今誘拐監禁されているからね? 分かってる?」
椅子に座らされて後ろ手をロープで縛られている自分の姿を見下ろす。足も椅子に縛り付けられている。ちなみにひかりも同じ状況だ。
「学校の帰り道に二人していきなり知らない奴らに誘拐されて椅子に縛り付けられているんだよ?」
「先輩は縛られる趣味があるんだと思っていました」
「お前も同じように縛られているんだからな!」
「……で、先輩は私と恋人になりたいんですかなりたくないんですか?」
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