0人が本棚に入れています
本棚に追加
夜能の奴、何であんなこと言いやがったんだ!
僕は夜能の言葉を思い出し、再度ムカムカしていた。
僕の初恋の人はそんな女じゃない!
外見も内面も本当に美しい人なんだ!
それを、それを……。
「なぁ、お前何してんだ?」
僕の耳に届いたのは、ムカついていた夜能の声だった。
「そこで、何掘ってるんだよ?」
夜能の声に僕は動かしていたスコップの手を止めた。
「おい、こっちを向けよ!高見沢!」
怒鳴る夜能に僕は振り向いた。
「……お前、何笑ってるんだ。」
夜能は眉をひそめ、僕を見ている。
笑ってる?僕が?
どうして……ああ、そうか。
僕は自分の掘っていた穴にしゃがみこみ、手で土を払った。
「……雫に、宮村雫また逢えたからかな。」
僕は満面の笑みを浮かべ、頭蓋骨を持ち上げ、夜能に見せつけてやった。
優しい月の光が、僕と雫の再会を祝福してくれるように照らしている。
それを夜能が羨ましそうな顔で見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!