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この街に戻ってくるのも10年ぶりだな・・・。
僕は中学三年間を過ごした街に、飛行機で二時間、空港から電車で一時間半かけて戻ってきた。
元々、親の転勤でこの街に来たのだが、中学の友達は僕の事を覚えてくれているだろうか?
僕は少しドキドキしていた。
綺麗な想い出がたくさんあった街の中をゆっくりとこの記憶と照らしながら見て歩いた。
「あれ?タカミーじゃね?」
昔のあだ名で呼ばれ、ビックリして振り向くと大柄な男が立っていて、何処か面影があるんだが……イッちゃん。
叶一生(かのういつき)こと、イッちゃんは懐かしいあだ名で呼ばれて、照れながら笑った。
「懐かしいな~、10年振りじゃん。今何処に住んでんの?仕事は?結婚した?」
イッちゃんはグイグイ質問してきた。
僕は少し戸惑ったが、イッちゃんの質問に一つ一つ答えた。
「今は東京で営業の仕事をしてて、結婚はまだしてないよ。イッちゃんの方は?」
「俺は結婚して三歳になる娘がいるよ。仕事は家の酒屋を手伝ってるよ。いや~、でもほんと懐かしいよな。今日の同窓会も楽しみだしな。全員参……あっ!」
イッちゃんのしまったというような顔を見せたのが気になり、僕はどうしたと聞いてみた。
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