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「あかり、すぐに引っ越して来る?」
「んー、今の職場からちょっと遠くなるから、どうかなぁ」
「職場の近くがいいなら、俺も引っ越すよ。あ、でも、その前に彼氏に会わせて」
聞き慣れない単語に、「彼氏?」と目を丸くする。彼氏……翔吾くんのことか、とすぐに思い当たる。
いや、忘れていたわけではないんだよ、翔吾くん。慣れない単語だから、ね!
湯川先生は私の変な態度に気づかず話を進めている。
「夫として彼氏には会っておきたい。セフレはいいけど。セフレより立場が上なんだよね、彼氏は」
「あ、うん……そう、だね」
「じゃあ、会っておかなきゃ。俺の留守中にあかりを預けるわけだし」
翔吾くんと湯川先生が、会う……。
荒木さんとケントくんが鉢合わせしたときのことを思い出して、険悪な空気になったらどうしようと内心動揺する。
「大丈夫。いくつか確認したいことがあるだけだから」
「……いくつか?」
「あかりとの付き合いをどう考えているのか、とか、俺を許容できるのか、とかかな」
あぁ、なるほど。特殊な環境下における共有事項を確認しておきたいということですね! 何しろ、お付き合いをする人が二人もいますからね!
翔吾くんが前に言っていた、シェアをするに当たっての確認事項というやつだ。
「今は合宿中だから、それが終わったら時間は作れると思う」
「学生?」
「うん。誠南大学三年生のサッカー部の子」
「俺と一回り違うなぁ……あかり、若い男のほうが好きなの?」
精液を搾取するという点においては、やはり若いほうに軍配が上がるのだけど、特別若い子が好きというわけではない。コンスタントに精液さえ出してもらえれば、年齢は関係ない。
先生は、妬いているのか、からかっているのか……あ、これはただの意地悪だな。目が笑っている。
「意地悪」
「ははは、ごめん、ごめん。まぁ、でも、今後のことは話し合っておかないといけないから、彼氏には会わせて。彼氏のほうが時間の融通が利くなら、俺が休みの日を教えるよ」
「わかった」
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