黒白な告白

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 翔吾くんも「会わなきゃ」と言っていたから、拒否はされないだろう。私が針のむしろになるだけだ。二人が会うというだけで緊張する。考えただけで頭痛や腹痛が襲ってくる。 「あかりの派遣の契約はいつまで?」 「年末までだよ」 「じゃあ、引っ越すならそれ以降か」  契約を延長しないで、他の仕事を探せってことなのかな?  まぁ、荒木さんからのアプローチがエスカレートするなら、それも考えないといけないけど……本当に、あれが毎日になったら、落ち着かない日々が続くということだ。心臓に悪い。 「あぁ、事実婚は世帯を同じにしないといけないから、住民票を移さないとね」 「へぇ」 「俺の就職活動はたぶんそんなに甘くないから、もし難しいようなら、地方へ行ったり開業することも選択肢の中に入れておきたくて、ね」  湯川先生は微笑む。  つまりは、そういうことか。 「そうなったら、ついてきてくれないか」  湯川先生だけが相手なら、きっとすぐにでも頷ける話だ。行きます、と答えるだけ。  けれど、もう一人、いる。  翔吾くんはなんて言うだろう。東京にいて欲しい、と言うだろうか。今は就職活動前だから、私たちが地方に住むことが決まったら、東京より地方を中心に就活するかもしれない。  それは、翔吾くんに聞いてみないとわからない。私が勝手に決めていいことではない気がする。 「……彼に聞いてから、でいい?」 「もちろん。この件も含めて、話し合いをしよう」  殴り合い、にはならないよね?  二人とも、落ち着いて話をしてくれるよね?  ドキドキしながら私は頷く。 「わかった」  彼氏が二人と彼女が一人。どう考えても「修羅場」にしか見えない席を想像して、私は「険悪になったらとりあえず私から殴ってもらおう」と決意するのだった。
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