黒白な告白

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『……嬉しいね。あかりに想われているのは、幸せだね』 「好きだよ、翔吾くん」 「んっ、……んんー……かわいい」  電話の向こうで翔吾くんが悶えているのがわかる。「たまに言って欲しい」と言われたけど、ほぼ毎日言っている気がする。  毎日一回の「好き」は、そんなに破壊力抜群なのだろうか。毎日、翔吾くんはかわいい反応をしてくれる。 『彼女かよ』『ニヤニヤして気持ちわりぃな、翔吾』と遠くからチームメイトが囃しているのが聞こえて、『うるせー、邪魔すんな!』と口の悪い翔吾くんの声が続く。  そっか、ニヤニヤしてくれたのか、と私まで照れくさくなる。 『ごめん、廊下で電話してたんだけど、たまたまあいつらが通りかかって』 「いいよ、私こそ邪魔していなかった?」 『大丈夫。電話、嬉しいよ』  何だかくすぐったい気持ちになる。そうか、これが「付き合う」ということか。彼氏彼女の関係、というやつか。 『好きだよ、あかり』  耳元で翔吾くんが囁いてくれる。その甘い声にぞくぞくする。目の前に翔吾くんがいたら、迷わずキスしていただろう。 「私も」  口元が緩む。私、今、とんでもなくだらしない顔をしているんだろう。恥ずかしい。確認する勇気はない。 「早く会いたいな」 『俺も。合宿終わったら会おうね』 「うん、楽しみにしてる」 「おやすみ」を言ったのに、どちらも電話を切ることができなくて、結局また何分か喋って、ようやく切った。  不思議なもので、電話ですら離れがたいと思ってしまう。  今日、湯川先生のマンションから帰るときもそうだった。病み上がりの先生を外出させたくなかったから、玄関でお別れをしたのだけれど、何度もキスをして、「バイバイ」と言っているのに、どちらも手を離さなくて、結局三十分くらい抱き合っていた。
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