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私は正体不明である。名称はまだない。
ふと気が付くと、何もかもが不安定で不定形な自分がどろどろとしていることだけを覚えている。
あまりにも自由であり、それと同時に不自由だったために、一つのカタチを取ってみることにした。
およそこの世界では当たり前とされる知的生命体の基本形……『人間』、それも純人種と呼ばれるそれを模してみる。
骨という基礎が固まり、それを動かす肉が付き、表面を覆う皮を纏って、ようやくそれなりの体裁が整った。
大雑把ながら緻密に組み上がった臓器が出来上がり、バランスが取れていく。機械を作るための設計図のような、精巧なDNAを元として。
……はて。
このDNAは、一体どこのどいつを起源とするのものであろうか?
まぁ、いいか。
とりあえず出来上がった体で、初めて機能する五感を使って、フォーマットを済ませた脳みそを回して、その全てで『僕』は実感する。
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