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戸川っちがそっと成瀬ちゃんのベールを上げる。
見つめ合う二人に、無音のままチャペル内の温度が上がった。
戸川っちがベールの中に手を差し入れ、成瀬ちゃんの頬を大切そうにそっと包んだ。
「……ぐぅ」
横からカエルが潰れたような呻き声がした。
めちゃくちゃ優しい目つきでじっと成瀬ちゃんを見つめてから、戸川っちが顔を傾ける。
ゆるい伏し目でゆっくりと顔を寄せる戸川っちのダダ漏れ色気に、男の俺も息を飲んだ。
そのまま戸川っちは目を閉じて。
ああ……ついに。
(あの無愛想・冷徹戸川君が!)
息を飲む者、声なき悲鳴を上げる者の中、戸川っちは堂々と成瀬ちゃんの唇にキスをした。
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