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盛大な祝福の中、列席者に目礼をしながら二人が退場していく。
「良かったわ、ほんと!」
梨香子先輩がすごく嬉しそうに笑いかけてきて、相原君もたくさんの幸せをもらえた気分になった。
結婚式って、そういうもの。
……変なものは目にしたけど。
あの不気味なちぅ顔の記憶を消そうと頭の中で格闘していたら、横から不気味ちぅ顔の主が話しかけてきた。
「良かったよね!」
美香先輩も満足気だったけど、突如真顔に戻って相原君の肘をぐいと引いた。
「相原。さっき言った話。アンタの出番よ」
「ああ……。なんですか?」
パーティーの司会ならアジア部の先輩に決まってるし。
スピーチのピンチヒッターか?
「ブーケトスよ」
「……え?」
「アンタが取ってちょうだい」
美香先輩がニタァと笑った。
「梨香子のために」
(「相原突入・ブーケトス」に続く)
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