2102人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
五月初旬。
ついに戸川っちと成瀬ちゃんの結婚式の日がやってきた。
ゴールデンウィーク真っ只中という傍迷惑な日取りではあるけど、戸川っちの一時帰国がそうなんだから仕方ない。
とにかくビッグネーム二人の世紀の結婚式を拝めるとあって、誰も文句を言うどころか連休の目玉行事の盛り上がりだった。
ピクニックしたくなるような晴天の下、教会の庭園では海事女子の面々がチャペルの扉が開くのをじりじりと待っている。
「何であんな席取りに血走ってるんですかね?」
「戸川君を間近で見たいんじゃない?それに彼、赴任以来でしょ。久しぶりよね」
梨香子先輩がキョロキョロ辺りを見回しながら答えた。
今日の先輩はすごく綺麗だ。
少し透ける感じの柔らかそうな水色のワンピースが先輩の雰囲気によく合っていた。
いつもは下ろしてる髪は、今日はフワフワのアップ。
先輩のうなじって初めて見るかもしれない。
折れちゃいそうに華奢で、つい視線が吸い寄せられそうになるのを我慢した。
最初のコメントを投稿しよう!