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確かに、体重は学生時代より十五キロは太った。
馬肥ゆる秋とかいうけど、地球の季節を無視して俺の腹には脂肪がついている。おかしいぞ、今は夏のはずなのに……。
考えてもみろ。
これ以上多恵さんに醜い姿を見せていていいのだろうか。否、よくない。
涙ながらに俺は苦渋の決断を叫んだ。
「……俺、明日からダイエットします!」
「あらそう?」
多恵さんは、くすりと笑った。
「なら、茉莉ちゃんに手伝ってもらうといいわ。この子、すごくそういう方面に明るいの。きっと優しく教えてくれるはずよ」
「そ、そうかな……」
チラリと上機嫌になった俺が茉莉ちゃんの方を見ると、彼女は蔑んだ目線でこちらを見ていた。
……訂正。鬼コーチの予感しかしません。
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