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気がついたら僕はそこにいました。
目の前にはだだっ広い草原。
朱い空。
そして一人の女の人がいました。
「あら、どうしてここに?」
彼女は僕をせめる訳でもなく、
かといって歓迎している風でも無くそう言った。
気づいたらここに居たと告げると
「そうなの。また来てしまったのね。」
そう言って、少しまぶたをさげた。
”また”というのが何をさしているのか
僕にはまったく分からなかったが、
彼女は何かを思い出しているように見えた。
「しばらくゆっくりしていくと良いわ。少しお話相手してくださる?」
そんな提案から、この不思議な世界を
僕はしばらく楽しむことにしたのです。
彼女はひとつの本をもっていました。
大切なひとからもらった、たった一つのものだそう。
その本を見つめる姿はとてもきれいで、
でもどこか寂しさを感じさせた。
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