月影太一

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「…って、何カッコつけてるんです。 単なる浮気調査ですよ?コレ」 「……」  今私は、さる紳士からの依頼を受け、細君の浮気現場を抑えるべく、ラブホテルの一室で潜入捜査の最中である。 此奴は我が弟子の『みかる君』。  数年前にさる事件に巻き込まれたのを助けてやって以来、妙に私になついてしまった。 以来、私の事務所で使ってやっているのだが…  まだティーンエイジャーの身ながら、私とともに数々の難事件を解決してきた中々の奴である。 「何言ってるんですか。ハローワークの紹介を受けて来ただけですって。 マッタク、事務経理だけだって書いてあったのに…ブツブツ」  ……照れ屋さんなのが玉にキズだ。 「あ、月影先生、隣の部屋。ホシがきましたよ!…女が一人。待ち合わせですかね?」 「そうか、引き続き見張りたまえ」 「り。(了解の意)」  みかる君は、引き続き悪趣味な絵画の横にある、小さな穴の前に張り付いた。  ホシが毎月第3土曜日にこのホテルを使っていることは、すでに調査済みである。  私は、面識のあるこのラブホテルの支配人の了承を得、ホシを隣の室に誘導することに成功した。 そしてこの部屋には、これまた支配人の了承を得、昼間のうちに『覗き穴』を設置した次第。  長きに渡った調査にも遂に終止符を打つときがきた。  私は今日決着をつける。即ち取引の現場を抑えるのだ!
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