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私はため息を一つつくと、ムッと眉を吊り上げているみかる君を窘めた。
「…みかる君。君は何か勘違いをしているようだね…君はマサカ…
私が “エッチな気持ち” でご婦人の着替えを覗こうとしている、などと考えてはいないかい?」
「それ以外に何があるっていうんです?」
フッ。
私は前髪をサラリと掻き上げた。
「女が服を脱ぎ始めた。これが何を意味するか分かるかね?
…そう、彼女はね。近々現れる男のために、シャワーを浴びるつもりなのだよ。
フフフ。君には少し早いがね」
「ナルホド!男が現れる時間が近づいている…
その瞬間を逃さないために先生は覗き穴にベッタリと張り付いてたあると、そういうわけですね」
「その通り……分かったらもう話しかけるなよ。
…お、おぅおお!」
その時、
目の前で美しい西陣織が床に落ちた。ファサリと衣擦れの音さえ聞こえた気がする。
長襦袢になった姿は、嫌が応にも身体の曲線を浮き彫りにした。
見立てでは80-60-86。大きめのヒップが何とも言えずセクシーな…
(…むしゃぶりつきたい…)
ボソッと呟いた私に、みかる君が冷ややかな視線を浴びせる。
その時、視線を感じたのか、女がふとこちらを向いた。
「?」
ヤバイっ、感づかれたか。
女がこちらに近づいてくる。
私は慌てて壁から離れると、咄嗟にポケットから取り出した黒い手帳を押し付けた。
『?………フウ…』
女の悩ましげな溜め息。
どうやら気がつかなかったらしい。
私はおもむろに手帳をよけると、再び監視を続行した。
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