§ 第1章  飛鳥川の淵瀬 §

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「一太。 高校生のお姉さんの後ろにちゃんと並ぶのよ」 「うん。 分かっている」 本の返却で図書館へ寄った秀美と一太は、 神社のお祭りに立ち寄ることにしたが、 三歳の子どもなら当然出店に寄りたがる。 しかしながら一太は秀美と手を繋いで奥へ進んだ。 彼女の名前は秋山秀美(あきやまひでみ)。 子持ちの未亡人である。 秀美の子、 一太は不思議な子供だった。 一太はお賽銭箱の前に立つと天井をしげしげ眺め、 「この神社は古いんだね」と、 呟いた。 それから前を向いて、 「保育園でお友達が出来ますように。 それと僕にお父さんが出来ますように……」両手を合わせて切に祈っていたが、 それとは別に一太はこれから起こる未来を予感し悟っていた。 一太はそれを母に話さなかった。
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