2123人が本棚に入れています
本棚に追加
家に帰りたくないな。
まだ一緒にいたいな。
先輩の髪に顔を乗せて悶々と考えていると、梨香子先輩が顔を少し上げてキョロキョロ辺りを見回した。
「先輩、どうかした?」
「ううん……」
梨香子先輩は少し決まり悪そうにまた胸に顔を伏せた。
路上だから気になった?
「こんなとこでごめんね、先輩」
「違うの。……美香、本当に酔ってたのかなって」
「……それは俺も疑問が」
「だよね?」
「うん」
「今日の美香、潰れるほど飲んでなかったんだよね」
「階段、ぐったりしてる割に自力であがってましたよね」
「……」
慌てて二人でキョロキョロしたけど、辺りは静かで、人の気配はない。
さすがに見に来ないか。
「でもきっと今頃、気を揉んでますよね。うまくいったかなって」
最初のコメントを投稿しよう!