先輩が好きだから

11/16
前へ
/29ページ
次へ
家に帰りたくないな。 まだ一緒にいたいな。 先輩の髪に顔を乗せて悶々と考えていると、梨香子先輩が顔を少し上げてキョロキョロ辺りを見回した。 「先輩、どうかした?」 「ううん……」 梨香子先輩は少し決まり悪そうにまた胸に顔を伏せた。 路上だから気になった? 「こんなとこでごめんね、先輩」 「違うの。……美香、本当に酔ってたのかなって」 「……それは俺も疑問が」 「だよね?」 「うん」 「今日の美香、潰れるほど飲んでなかったんだよね」 「階段、ぐったりしてる割に自力であがってましたよね」 「……」 慌てて二人でキョロキョロしたけど、辺りは静かで、人の気配はない。 さすがに見に来ないか。 「でもきっと今頃、気を揉んでますよね。うまくいったかなって」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2123人が本棚に入れています
本棚に追加