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ああ!と呟いて梨香子先輩が顔を覆った。
「いつから美香にばれてたんだろう?隠してたつもりだったのに」
確かに、ずっと前から俺にも意味ありげなこと言ってたし。
「先輩。ずっと前からって、いつから?」
「……言わない」
先輩の顔を覗き込もうとすると、怒って余計に隠された。
「相原、ひくもん」
「ひかないよ、絶対。嬉しいし」
「ひくの、絶対」
「俺のが前かもしれないよ」
「……それはない」
「二年前?」
「ちがう」
「んじゃ、三……」
「やだ、絶対言わないから!」
その時、自転車が通りがかって、慌てて体を離した。
数メートル先の道路にはブーケや引き出物が散乱していて、自転車の通行人は不思議そうに避けながら通り過ぎていった。
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