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「派手に散らかしてるね、私達」
「だって先輩が逃げるから。拾うからちょっと待ってて」
二人で笑った後、ブーケと荷物を拾いに戻った。
もう少しくっついていたかったなと、名残惜しく思いながら。
「ん」
先輩にブーケを渡してから、右手を差し出した。
わかってくれる?
俺がしたいこと。
「え……?」
一瞬、首をかしげた先輩はその意味に気付いたらしく、恥ずかしそうに俺の手の中に小さな手を滑り込ませてきた。
「へへへ」
嬉しすぎて、みっともない笑いが口から漏れた。
「バカ」
こっそり先輩を見下ろすと、恥ずかしそうに笑っていて。
キスもくっつくのも足りないけど、なんかとっても幸せだ。
「へへへー」
「何なのよ、バカ」
勢いよく繋いだ手をブンブン振ると、さすがに呆れられた。
でも、一つ気付いたことがある。
意地っ張りな先輩の「バカ」は、きっと「好き」の代わりだよね?
勘違いかもしれないけど、そう思っておくことにした。
そこでハッと我に返り、また後ろを確認した。
こんなとこ美香先輩に見られたら、一生笑われる。別にいいけど。
「……美香先輩、今頃疲れて寝てますね」
ブーケトスとか。
俺達のためにあれこれ画策してたみたいだし。
「そうだね。報告しなきゃね」
照れるけど、と梨香子先輩も横で笑った。
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