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あれから数時間後、やっぱり相原君は頑張る羽目に陥っている。
「美香先輩、着きましたよ!」
「あー?ご苦労……」
「美香、タクシー降りるから起きてよね」
「あいあいー」
酔い潰れた美香先輩を梨香子先輩と両側から支えて、美香先輩のマンションへと夜更けの道をヨタヨタ歩く。
梨香子先輩にあげるブーケはまだ引き出物の紙袋の中。
美香先輩の絡み酒で、ブーケを渡すどころじゃなかった。
「ここの三階よ。でもエレベーターついてないのよね」
「先輩!階段昇りますからね、足動かして下さいよ!」
「あいあいー」
「相原ごめんね。全員の荷物持ってるのに大変だよね」
「大丈夫ですよ。あと少しだし」
小柄な梨香子先輩のが心配だ。
ヒールだって高いのに。
でも意外と階段では美香先輩が足を動かしてくれて、なんとかドアにたどり着いた。
部屋には電気が点いている。
「そっか、美香先輩一人暮しじゃないんだ?」
「うん。結婚指輪、相原が調達してあげたらしいね。ダーリンがいるのよ、美香」
「ぶ、美香先輩のくせにダー」
言い掛けたところで美香先輩に足を蹴られた。
酔っ払っていても耳は起きてるらしい。
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