先輩が好きだから

2/16
2020人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
あれから数時間後、やっぱり相原君は頑張る羽目に陥っている。 「美香先輩、着きましたよ!」 「あー?ご苦労……」 「美香、タクシー降りるから起きてよね」 「あいあいー」 酔い潰れた美香先輩を梨香子先輩と両側から支えて、美香先輩のマンションへと夜更けの道をヨタヨタ歩く。 梨香子先輩にあげるブーケはまだ引き出物の紙袋の中。 美香先輩の絡み酒で、ブーケを渡すどころじゃなかった。 「ここの三階よ。でもエレベーターついてないのよね」 「先輩!階段昇りますからね、足動かして下さいよ!」 「あいあいー」 「相原ごめんね。全員の荷物持ってるのに大変だよね」 「大丈夫ですよ。あと少しだし」 小柄な梨香子先輩のが心配だ。 ヒールだって高いのに。 でも意外と階段では美香先輩が足を動かしてくれて、なんとかドアにたどり着いた。 部屋には電気が点いている。 「そっか、美香先輩一人暮しじゃないんだ?」 「うん。結婚指輪、相原が調達してあげたらしいね。ダーリンがいるのよ、美香」 「ぶ、美香先輩のくせにダー」 言い掛けたところで美香先輩に足を蹴られた。 酔っ払っていても耳は起きてるらしい。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!