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「それより紗衣」
疑問やモヤモヤは即時解決だ。
たとえ小さい男と言われようと!
「今朝、片桐さんと控室で一緒にいただろ」
「うん」
目の前の肩は特に力が入るでもなく、何の反応もない。
「何か言われたか?」
「ううん別に。おめでとうって」
それだけか?
「あ、あとね。頼み事したんだ」
「頼み事?何だよ」
「えとね、ふふ、すごくしょうもないんだー」
風呂のせいか、普段よりさらにのんびりした彼女の口調がじれったくてたまらない。
「えへ、座布団捨てといてって」
「座布団?」
「うん。経企室、空調効きすぎて寒いから座布団要るの。でも捨てるの忘れちゃって」
「そんなの、あの後輩女子に頼めばいいだろ!片桐さんが変態だったらどうすんだ」
女が乗った自転車のサドルを集める奴だっているんだぞ!
「やだー。でもあんな美形なら変態でも許せちゃうね」
「……」
許せるんだ……。
「それだけか?」
「えっと、あと一つ。たいしたことじゃないよ」
歯切れが悪い。
まさか、またキス迫られたとか。
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