やきもち戸川っち・新婚初夜編

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*** ちゃぷん、と紗衣が湯を掬う音が湯気でけむるバスルームに響く。 「泡風呂って環境に悪くないのかなぁ。皆がやったら、下水処理場が泡だらけになっちゃう」 「……そうだな」 洗い場という、新婚初夜でどうなんだって場所ではあるものの、ようやく紗衣を抱いてとりあえず満足した俺は、今は彼女希望の泡風呂に浸かり中。 紗衣を後ろから抱いて上の空で返事しながら、まだうごめく不埒な欲望に“おとなしくしてろ”と叱咤する。 「実家近くにすんごい汚い泡が浮いてるドブがあるんだけど、前にお父さんがお財布落としちゃってね。八万円も入ってたから必死で拾ったんだー」 「へぇ」 それにしても何だこの色気のない会話は。 「ドブ入り財布、何万から拾う?」 「そうだな……」 難しい質問だ。 ケチとも見栄張りとも思われたくない。 ……いや、待て。 なんで真面目に考えてるんだ。 つか、なんであの“愛してる”の後に汚いドブの話をしてるんだ? 紗衣の肩にお湯をかけてやりながら考える。 そうだ。 もっと聞きたいことがあったじゃないか。
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