2421人が本棚に入れています
本棚に追加
結婚とか式とか、どうでもいい茶番だと昔は思っていた。
やらずに済むなら勘弁願いたいと。
それが、今日の俺はなんだ?
大真面目に誓いの言葉を口にし、誓いのキスはヒンシュクを買うほどまともにやった。
止められずについ、
念入りに二度も。
後から思えば、一番盛り上がってたのは俺じゃないかと思わなくもない。
でも、仕方ないじゃないか!
一年間も孤独と絶望に耐えた上、彼女と再会してからも会えたのはわずかだ。
今回なんて、一昨日帰国してからは親戚に揉みくちゃにされ、紗衣とは触れるどころか事務レベルの会話しか出来ていない。
だから今晩は遠慮なく、存分に彼女を味わうつもりでいた。
(紗衣に嫌われない程度に)
そう、予定では今ごろ、どう攻めようか手ぐすねをひいているはずだった。
なのに俺の心は今、
どす黒い雲に覆われている。
原因は、アレだ。
最初のコメントを投稿しよう!