やきもち戸川っち・新婚初夜編

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結婚とか式とか、どうでもいい茶番だと昔は思っていた。 やらずに済むなら勘弁願いたいと。 それが、今日の俺はなんだ? 大真面目に誓いの言葉を口にし、誓いのキスはヒンシュクを買うほどまともにやった。 止められずについ、 念入りに二度も。 後から思えば、一番盛り上がってたのは俺じゃないかと思わなくもない。 でも、仕方ないじゃないか! 一年間も孤独と絶望に耐えた上、彼女と再会してからも会えたのはわずかだ。 今回なんて、一昨日帰国してからは親戚に揉みくちゃにされ、紗衣とは触れるどころか事務レベルの会話しか出来ていない。 だから今晩は遠慮なく、存分に彼女を味わうつもりでいた。 (紗衣に嫌われない程度に) そう、予定では今ごろ、どう攻めようか手ぐすねをひいているはずだった。 なのに俺の心は今、 どす黒い雲に覆われている。 原因は、アレだ。
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