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「わっ、アメニティすごいよ!これ使ってみたかったんだー」
風呂場からはキャッキャ言う声が聞こえてくる。
「……呑気な奴だ」
紗衣が作ったベッドのへこみにゴロンと寝転んで、花びらを鼻先に乗せた。
何でこんな拗ねポーズしてんだ、俺は。
俺のモヤモヤの原因は、紗衣が片桐王子と控室で二人きりでいたことだ。
「泡風呂しようね、戸川君!」
よしよし。
久々だから抵抗されると思ってたけど、風呂は一緒に入ってくれるらしい。
モヤモヤは脇に置いといて、とりあえず一緒の風呂に入れることを密かに喜ぶ。
「戸川くーん!早く来てよ」
それにしても、片桐さんと何を話したんだろう?
二人が一緒にいると知ったのは三浦と紗衣の後輩の前だったから、大人の余裕こくしかなかったが。
実は、気になって仕方ない。
何よりモヤモヤするのは……
「もう、何で来ないの?……ギャ!」
風呂場から俺を呼びに戻って来た紗衣が、ドレスの裾を踏んでコケた。
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