2423人が本棚に入れています
本棚に追加
考えてみれば、紗衣に関して、俺はいつも一番を逃してばかりだ。
プロポーズは片桐王子に先を越され。……そういえば崎田にも先越されたか。
指輪は渡辺に先にはめられ。
その上、花嫁姿まで。
紗衣の顔を挟んだまま、思わず唸った。
「やっぱり気に入らん」
「え、わ、私の顔?へ、変かな」
「それは慣れてる」
「今日ぐらい誉めてよ!」
途端に真っ赤になって暴れる紗衣をいよいよ固く抱き締める。
俺は紗衣を苛めるのが大好きだ。
それにしても、何か知らんけどスカートの中に入ってるフワフワしたもののせいで抱きにくい。
「ドレスが邪魔だ」
「うん。脱ぐの大変かも」
不意に頭に浮かんだ罰当たりな考えに、顔がニタリと笑った。
「よし。俺が脱がせてやる」
「えっ……?」
まだ俺の上に乗っかったまま固まった紗衣の腰を、逃げられないようにグッと掴んだ。
最初のコメントを投稿しよう!