やきもち戸川っち・新婚初夜編

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考えてみれば、紗衣に関して、俺はいつも一番を逃してばかりだ。 プロポーズは片桐王子に先を越され。……そういえば崎田にも先越されたか。 指輪は渡辺に先にはめられ。 その上、花嫁姿まで。 紗衣の顔を挟んだまま、思わず唸った。 「やっぱり気に入らん」 「え、わ、私の顔?へ、変かな」 「それは慣れてる」 「今日ぐらい誉めてよ!」 途端に真っ赤になって暴れる紗衣をいよいよ固く抱き締める。 俺は紗衣を苛めるのが大好きだ。 それにしても、何か知らんけどスカートの中に入ってるフワフワしたもののせいで抱きにくい。 「ドレスが邪魔だ」 「うん。脱ぐの大変かも」 不意に頭に浮かんだ罰当たりな考えに、顔がニタリと笑った。 「よし。俺が脱がせてやる」 「えっ……?」 まだ俺の上に乗っかったまま固まった紗衣の腰を、逃げられないようにグッと掴んだ。
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