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「やれやれ....幼龍を返しただけで、溜飲を下げてくれて良かったよ」
「其だけで済まない時が有るんですか?」
「あぁ、かつて千年以上前に龍が1頭人間の手により死んだ、その時龍の報復により大陸の半分が消し飛んだと文献に書いてある」
「千年以上前?随分と古いですね」
「王家の書庫にあった文献だから事実だよ」
「あれ?何で一隊員が王家の書庫に入れたんですか?」
隊員の何気無い疑問に失言したと悟った瞬間俺は焦った。〈これ〉は知られると厄介だ。
「ぐ、偶然だ.....ハマーン隊長は王家の信頼が厚かったから、その関係でだ」
「ハマーン隊長、信頼されてましたもんね......惜しい人を亡くしました」
「全くだ........げっ!」
遠目から見ても分かるふっくらボディが足音をたててやって来た。仮にも隊長ならもう少し痩せるべきだと思う。
「此はスーデ隊長」
「お前!私の命令を聞かないばかりか私を無視してワイバーンを飛ばすとは!軍師会議に掛けてやる!」
「ですが龍に関する事は、最優先事項です」
この新しい隊長は龍の怖さが分かっていない、終いには「私が龍を討伐してやる!」等と言う始末。龍の機嫌を損ねた事で消え去った小国など数が知れない。
「ふん!龍が何だ!私が討伐してくれる!」
「龍の討伐は国が定めた法律に違反しますよ、下手すれば国家反逆の罪に問われます」
そもそも、そのボディでは無理だろう、精々龍のオカズになるのが関の山だ。
「貴様は!......ふんっ!まぁ良い明日を楽しみにしておけ、漸く邪魔な貴様を排除出来るのだからな!」
再び足音をたてながら去っていく隊長を睨んでいると、隊員が不安に聞いてきた。
「軍師会議に掛けるのは、本当の様ですね......大丈夫何ですか?」
「大丈夫.......では無いが、まぁ何とかなるだろう」
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