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次の日部屋をノックする音が響いた、あの軍師会議の件だろう。
「誰だ?」
「リオン副隊長、国王陛下がお呼びです」
全くあの役立たずの隊長もやってくれる、下手したら副隊長を辞める羽目になる。
「お呼びですか?国王陛下」
「うむリオン副隊長、そなたはブータ・スーデ隊長の指示を聞かずワイバーンを飛ばしたそうだな」
「はい、龍が国に迫っていたので」
「う~む、龍の事とは言っても隊長の命令無視はいかん」
流石に龍の事では俺を軍師会議で責められず、命令違反で責めてきた様だ。
「仕方がない、スーデ隊長も五月蝿い事だし一週間の謹慎処分とする」
まぁ此のくらいは仕方がないだろう。潔く受けるとするか。
「分かりました、失礼します」
一例を陛下にして王の執務室を出る、さてどうするか一週間とは言え長い。
「副隊長!大丈夫でしたか?」
「あぁ、一週間の謹慎で済んだよ」
「そうですか良かったです、いえ良くは無いですね」
「どうしてだ?」
「あの隊長が、ここぞとばかりに我が儘っぷりを発揮すると思うと、胃が痛いです」
「......俺が言えるのは此だけだ、頑張れ」
青い顔して胃を押さえる隊員の肩を叩き、俺は町に買い物に向かう。
「おばちゃん〈ドルコの実〉くれ」
「リオンちゃんじゃない!オマケに〈ココの実〉あげるよ!好きだったろう?」
「おばちゃんこの歳になって、ちゃん付けは止めてくれ」
顔馴染みのおばちゃんにちゃん付けで呼ばれるのは、二十歳を過ぎたら流石に恥ずかしい。
「幾つになってもあんた達は私達の孫の様なもんだよ!」
「俺もう三十路近いんだけどね」
そんな同じような会話を露店の人達と続ける事と数時間後、町にいる騎士団の連中が騒ぎ始めた。
「何があった」
近くにいた騎士団の隊員を捕まえ事情を聞くと。
「副隊長!其が国の近くにあの親龍が現れたと」
「何?くそっ!俺は今謹慎中何だよ」
謹慎中の為大っぴらには行動出来ないが、一応事態の把握はしておこうと現場に向かう。
あのバ隊長が可笑しな行動を取らないことを祈りつつ急ぐ。
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