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到着すると足をガクガクさせたバ隊長が龍に剣を向けていた。
「スーデ隊長!龍を刺激しないで、離れて下さい!」
まさか龍相手に剣を向けているとは思わず、バ隊長を刺激すると知っていたのに叫んでしまう。
「う、五月蝿い!わ、私に命令するなぁ!」
逆上したバ隊長は今度は俺に剣を向けてきた、其に反応したのか龍が此方を向き更に俺は焦ってしまった。
「龍がっ!スーデ隊長剣を仕舞って下さい!」
「五月蝿い!」
バ隊長が剣を振り上げ斬りかかって来た、今俺は謹慎で帯剣をしておらず切られるのを覚悟する。
その時蒼銀にキラキラ輝く龍の翼が降りてきて剣を弾いた、澄んだ高い音をたてて弾かれた剣が二つに折れる。
「クゥゥ~~」
「お前........」
龍に助けられた驚きもそこそこに、龍の鋭い爪が俺の体を掴む。
「うわぁぁぁぁ!」
「副隊長?!」
凄まじい速さで地面が遠退いていく。
「クルゥ」
共和国がある程度遠退いた処で、龍は俺を優しく爪で包む様に持ち変える、そこまで来て漸く俺は自分が龍に拐われたと気づいた。
「おい!龍俺を国に帰してくれ!」
包まれているとは言え猛スピードで飛行する龍に声は届かない、どうしようもない状況に、今頃あのバ隊長は喜んでいるのだろうな、と現実逃避するしか無かった。
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