世界がもし100人の邪気眼で構成されていたら

2/3
前へ
/4ページ
次へ
 世界には63億人の中二病患者がいますが、もしそれを100人の中二病患者の村にまで縮めるとどうなるのでしょう。  きっとこんなことを喋っているんだと思います。 「お前は自動的。オレは自律的。そこがお前とオレの差だ。お前の理屈が通るなら、世界はもはや取り返しもつかないほどに壊れている。  外側から傍観しているだけでは分からなかったか?  全てが始まった瞬間に手遅れを抱えているということくらい子供にだってわかる。不治の病だ。完治することがない特別性だ。  ――――それが“生”きているってことだろ」  100人のうち52人が女性です。 「全ては後付で成り立っている。お前がこうしたい、あるいはこう動き出している――それよりもずっと前にお前の無意識とお前に備わったスーパーコンピューターが選択を決定している。それを歪めるのはお前自身と認めるハリボテのお前。  さて、ここで質問だ。お前はお前で在ることをいつまで止め続けるつもりだ? お前はお前が真に望むモノを受け入れることができないほど脆弱か?  難しいことなんてない。ただ奔るだけでいい。お前のために用意されたサーキットを走り回るだけでそれは完遂しているのだから――――」    48人が男性です。 「興味ないね――――手堅いだけなんて。  興味ないね――――正論でしかない正論には  興味あるね――――希望が宿る非常識には」  30人が子どもで。 「世界の闇を直視しなくてはならない。もうぬるま湯に浸かっている時間も、浅瀬でチャプチャプ水遊びをしている時間も、弱いままで許される時間も、泣いて許される時間も――――ビターで、けれどスウィートな時間のことごとくが終わってしまった。  己が闇を直視しろ。そうして世界の闇を直視しろ。  順番はどちらが最初に来ても構わない。ただ、出来るならば、己が闇から世界が隠した秘密に辿り着いてくれることを、個人的に祈っていたりするがね」  70人が大人です。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加