相原君のマタニティー観察日記

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目を開けると、相原君の腕から逃れようと、梨香ちゃんが般若のような顔でもがいていた。 「……あれれ?」 今の甘ーいシーンは……? 「梨香ちゃん、寂しいって言わなかった?」 目をシバシバしてると、布団をひっ剥がされた。 「はぁ?寝ぼけてないで早く!」 「え、待って」 だって相原君、ほとんど服着てない。 世の旦那様は皆そうだと思うが、休日朝のピンポンは大抵、相原君が動員される。 たとえ宅配便でも、メークしてない顔では出たくないらしい。 「まだ九時になってないのにフライングだよ宅配おじさーん……」 寝ぼけてスウェットの片方に両足を突っ込み、何やってんだと梨香ちゃんにどやされ。 転ぶように玄関に走る間もピンポンはしつこく鳴り響いていた。 しかもドスンドスンとドアを叩く音。 何だか宅配おじさんにしちゃ、マナー無視しすぎじゃないか? その時、ドアの向こうから野太い声が響いた。 「りかこぉぉーー!!」 まさか……。 相原君の全身が硬直する。 「りかこぉ!一大事よぉ!」 ……間違いない。 相原君が最も恐れる世界最強重鎮様だ。 恐ろしいことに、うちから歩いて五分の近所に住んでいる。
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