序章

2/2
前へ
/229ページ
次へ
ーー師走  忘年会シーズン真っ盛りのこの時期。緑のボードには所狭しと言わんばかりに沢山の予定表が貼られていた。  参加するのに丸を、会費を払った人の名前の横には幹事の印鑑を捺すようにと、あった。  フロア全体、各部署、チーム単位、同期会と……  毎年何回忘年会をさせるつもりなのか。  その中にひっそりと端に紛れ込むように忘年会とは全く関係がないことが書かれた白さが際立った紙が1枚混じっていた。その色と三つ折りにされた跡が此処で印刷された物ではないことを証明していた。  1人の男がその紙をぼんやり見ていた。
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加