第1章

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 お湯が沸いた音が聞こえて、大河が私に聞いた。 「砂糖とミルクはいる?」 「ミルクだけ好きなだけどうぞ」  私の返事に大河が固まった。 「好きなだけって、言われてもなぁ」  簡単に片付け終えた私はエアコンの吹き出し口の下に立ち、顔だけ大河の方へ向けた。 「冷蔵庫にある牛乳ってこの間、私が持ってきたのでしょう?だったら多分もう昨日賞味期限は切れてますよ。変な匂いがしなかったら私が飲むから、残りは捨てて下さいね」  大河は冷蔵庫から紙パックに入った牛乳を取り出し、匂いを嗅いで、そのまま私のところへ持ってきた。 「どう?」と不安そうに私に牛乳を渡してきた。  匂いを嗅いでみるものの、寒さで鼻水をすすり上げていた私が判断出来るわけがない。 「うーん、刺身醤油を入れる小さな皿にウォッカを入れて持ってきて」  私がそう言うと、大河は直径7~8センチメートルくらいの丸い浅い皿に「すずちゃん(マナの姪)のお誕生日会の時に貰った飲み残りだけど大丈夫かなぁ」と、言いながらウォッカを入れて持ってきた。  私はその中に牛乳を少し注ぎ、軽く左右に振った。牛乳は均一に広がり、ウォッカと混ざって薄い乳白色になった。
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