第1章

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 大河と私はテーブルを挟んで向かい合わせに座った。テーブルにはゲームのソフトやらコントローラーやら使いっぱなしのタオルや爪楊枝や他にもグチャグチャに置いたままになっていた。  それらを僅かにズラすように私は手で払ってスペースを確保し、ぬるいと言うより冷たいという形容詞が似合うコーヒーを置いた。 「それで話って何ですか?」  なかなか話し出さない大河に、少々イラつきながら、私の方から話を切り出した。 「あー、うん。そのことなんだけど……」  大河は言葉を選んでいるようだったが、上手い言葉が出てこないようだった。 「私、帰りますよ。明日も仕事があるし……」  そう言って立ち上がった瞬間、大河は「待って」と言い、自分のカバンに手を伸ばした。言葉にするより何かを見せた方がいいと思ったのだろう。  付き合って1ヵ月記念?  それはないな。そんなことをするような男ではない。そもそも1ヵ月記念日って先週だった。  カバンを漁っている大河を見て、何が出てくるのだろうと思いながら、私はもう一度座り直した。大河が少し端が折れ曲がった紙をゲームソフトの山の上に置いた。
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