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「おい、こいつ変な目の色してるぞ。化け物だ。やっつけろ。」
夕暮れ時の公園で、複数の高校生達に石を投げられている少年。
制服も髪も、砂で汚れて白くなっていた。
私は、ランドセルの脇にある防犯ブザーを鳴らし、遠くに飛ばした。
その音に驚いて、一斉に公園の出口に走っていく高校生達。
彼らの後ろ姿を見届けて、防犯ブザーを回収した。
そして、ハンカチを取りだし少年に手渡した。
「何で、やり返さないの。」
少年は、私の顔を見て、ニッコリと笑った。
「そしたら、誰かが傷付いちゃうよ。僕は、そんなの嫌だから。」
「お人好し。」
私の言葉に、また彼は笑った。
私の隣に住む、5つ年上の彼。
瞳の色が、陽の光によって青色にも見える彼は、私の幼馴染みである。
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