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女が男を待たせる時代になっただなんて。
昔の人には理解できないかも知れない。
終電ぎりぎり駅の階段を駆け降りた。
一息着いた電車のなかは人の姿がどこにもない。
春に決算期に帰りが遅くなることはいつものことだけれど。
今日は格別遅い気がする。
残業なんかに負けるなってラインに私はまだ返信していない。
へとへとなんだって眠い目を擦ってる。
結婚して数年、彼との生活はまともにできているのかな。
私は電車を降りて、家路に着こうとした。
「残業、お疲れ」
「明日も早いんじゃないの?」
「ご飯まだだろ?」
心配で迎えに来てくれた彼の後ろで三日月が笑う。
私と言えば頷くだけで、こんな温もりが続けばいいと心のどこかで思っている。
完
2017305
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