6人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺には盾さえないのか?
それよりも、あのときお前が倒れたせいでいちいち戻るの大変だったんだからな!
それと、お前の蘇生費用のしめて500ゴールド払え!」
「ひっ!」
出費率が高く打たれ弱い魔法使いは、僧侶に向かって怒鳴り散らし…僧侶は悲鳴を上げた。
僧侶は回復の要。
魔法使いよりは打たれ強いが…決して前に出られる能力の持ち主ではない。
しかも、僧侶が戦えなくなるたびに拠点に戻って体勢を立て直す必要がある。
僧侶以外に重度の怪我を治せる存在は少ないから、僧侶が一度戦闘不能になれば施設に大金を払うしかない。
必然的に守られる側になる。
それでも、すべてのことに『絶対』はない。
回復魔法の恩恵以上の出費がパーティーを襲うのだ。
特に蘇生費用の出費は半端ない…費用をかけないRPGもあるけど。
互いが互いに主張を譲らず、一触即発の空気が飛ぶ。
このままでは酒場の中で戦闘が始まる可能性がある。
もし、破壊行為でも始まれば保障関連とかでレベル13の冒険者にどうにか出来る事態ではなくなる。
「お前ら、いい加減にしろよ!
そんなことをしているヒマがあったら、次の仕事を探せよ!」
狩人が怒鳴って場を仕切る。
一番立場が悪いはずなのに、彼の怒鳴り声は酒場一帯に響き渡って周りを黙らせた。
「次の依頼で、戦いになった時は俺が前に立って敵を引き付ける。
一人でも壁が出来ればお前の負担も軽くなるだろ。
俺はな、今は貧乏でもお前らと成り上がりたいんだ!」
場を収めるための狩人の捨て身の説得だったが…話が無茶苦茶だった。
いったん別れても構わなかったが、地位や名声を求めており勇者に一番近い冒険者とは基本的に強欲だ。
ゆえに、安心して背中を預けられる相手を探すには時間がかかるのだ。
言い争いは耐えなかったが、彼らは何だかんだ言っても分け前で後ろを取るような奴らではなかった。
信用出来る仲間と組んで世界を冒険したいという気持ちは変わらない。
最初のコメントを投稿しよう!