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ガイア、天に抱かれ水に愛され地に育まれた土地。 天空に幻の月と呼ばれる地球と月を仰ぐ事ができる。 その一地方に、竜の谷によって三方を囲まれた土地にファーネリア王国が存在する。 扇状地に柱の様に台地があり、森と河が美しい国である。 農業が主な産業の武家小国家だ。 今、ファーネリア王国は四年前の前大戦、ザイバッハ戦役からの復興の最中だった。 今日も市街の一画で家屋の新築が進んでいる。 復興の先頭に立つのは、国王であるバーン・ファーネルだった。 自ら建築の指示をだし作業の陣頭指揮を行っている。 その姿は現場では不釣り合いな若い青年だった。しかし、何の不自然も感じさせないものだった。 16歳でファーネリアの誇るイスパーノ製のガイメルフ、エスカフローネを駆って多大な戦果を挙げたザイバッハ戦役に於ての経験を持っているからだろう。 柘榴色の瞳が精悍な雰囲気を発している。 「国王様、この様な事までお越し頂けるとは、恐縮至極でございます。」 家主がひれ伏している。 「よい、面を上げてくれ。国の先に立つのも王たる者の努め、気にすることはない。」 家主は恐縮しながらも顔を上げて、王を見上げる、それをバァンは笑顔で見下ろす。 家主の緊張感が自然と解ける。そんな笑顔だった。 そこへ甲冑姿の少年が駆け寄ってくる。 「バァン陛下!お時間でございます。」 「もう、そんな時間か?」 ほうっ、とため息にも近い息を吹き出す。 「チャダ、後を頼む!」 バァンは鳶の一人に声を掛けた。 「分かりました。後は、お任せを。」 チャダはバァンの所にやって来る。 「後は、陛下が居られなくとも今日中には仕上がります。」 「判った、シュリ行くとしよう。」 バァンを呼びに来た小姓に声を掛けた。 「はっ、会議室の方に皆様、参集済みで陛下をお待ちかねでございます。」 その声に非難のニュアンスが滲んでいる。 「判っている、シュリ。おけ。」 バァンは、小姓のシュリに苦笑しながら答える。 「では、行くぞ。」 バァンは王城に向かう。シュリがその後を追う。
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