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合間を縫って店主に例のウロコの入手経路を詳しく聞いてみた。
10数年も前に見知らぬ冒険家と名乗る男性が持って来た、ということだった。
どうやって手に入れたのかといった詳しい話は聞いていないし、
その人はそれ以後現れないので、素性もなにも知らないそうだ。
めぼしい情報は手に入らなかったので、博士はさぞやがっかりするだろう。
手紙で報告するのも心苦しいけど、まぁ仕方がない。
翌朝、店主に礼を言って出発した。街中でファムを呼ぶと騒ぎになるんで、
外へ出てからにした。
「ファム」
普通の声で呼ぶと、また少し間を開けて現れた。
「鞍をつけるからできるだけ下にさがってくれる?」
ファムは尾ビレが地面にくっつくぐらい下がってくれた。
2つに分かれている背ビレの間に革のベルト2本で鞍を付ける。
採寸しただけあってサイズはバッチリだった。
背中に乗り込んでから前の背ビレの根元に手綱をかけ、金具で調節する。
根元の軟骨部分なのでファムも痛くないだろうし、しっかりと付けることができ、
手直しなんていらないじゃないかっていうぐらい良くできていた。
「つけた感じはどう?」
ファムはちょっと体を揺らしてみてから、少々不満そうな目を向けた。
「邪魔なのはわかるよ、けど乗ってる間だけは我慢してくれ!
痛いとか苦しいとかあったら改善するからさ」
しょうがないなぁって感じだった。
「ありがと、じゃ、行こうか、ホルツ村はあっちの方角だよ」
南西方向を指差したのを目だけ動かして確認し、出発をした。
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