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第2章 ホルス村
ファムのペースで進んでもらって、村に着いたのは3日目の夕方。
だいたい当初の計算通りだった。
母さんは家の前の畑で作業をしていた。
「母さん!」
上空から声をかけると上を見上げ、浮遊魚に乗ってるおれを見てびっくり仰天していた。
畑の側に降り立つと、すぐにやって来た。
「あらあらまあまあ、おまえったら本当に捕まえちゃったの?」
半年戻ってこなかった息子に対する第一声がそれですか、お母さん。
「捕まえたわけじゃないよ、ファムは自分からついて来てくれたんだ」
「その子、ファムっていうのね」
「そう」
キラキラした目でファムは母さんを見ていた。
「ファム、おれの母さん」
愛想良く笑ってファムは挨拶をした。
ただし口を開けると鋭い牙が並んでるのが見えるから、慣れてないとけっこう怖い。
「ファムがよろしくってさ」
「こちらこそよろしくね、ファムちゃん」
うんうんとファムは体を揺らした。
「とにかく疲れたからシャワー浴びていい?」
「じゃお湯を沸かさないといけないわね」
ファムの鞍をほどきながらそんな話しているうちに、村の人がわらわらと集まって来た。
浮遊魚が飛んでるのを見つけ、こぞってやって来たらしい。
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