第2章 ホルス村

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「ディート!」  ファムを取り囲んでいる村人の間を抜けて、村長が遅れてやってきた。 「浮遊魚を捕まえてくるとは凄いじゃないか」  イヤ、だから違うからっ! あと何回説明しなきゃいけないんだ、いったい。 「違います、ついて来てくれただけで捕まえたわけじゃありません」 「ついてきた? まぁとにかく村のみんなも君の話が聞きたいだろうから 今夜はわたしの家で帰還パーティーをしよう」 「え?」 「じゃ、待ってるよ」  返事も聞かずにそう言うと、村長はみんなに振り返った。 「そういうことだから手が空いてるものは手伝ってくれ」  村の人たちはそれぞれ返事をした。  ああ、もう。なんで勝手に話が進んでくんだ。 なんだかすでに抵抗する気力すら残ってなかった。    結局、村の人全員が村長の家に集まり、帰還パーティーとやらが開かれた。  不本意ながらこのパーティーの主役はおれ。 ローフィルのときと一緒でみんながクレーフェンの谷での出来事を聞きたがった。  けどまぁ、生まれ育った村の人たちが相手だから、 ローフィルみたいに気を使う必要もない。だからありのままを話した。  上空から落ちて大怪我をした話をしたとき、 「1度死にかけたってそれか」  と、コンラッドが言った。 「そ」 「無茶すんなぁ、おまえ」 「別に無茶するつもりはなかったんだよ、反射的に体が動いちゃっただけで」
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