0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ディート!」
ファムを取り囲んでいる村人の間を抜けて、村長が遅れてやってきた。
「浮遊魚を捕まえてくるとは凄いじゃないか」
イヤ、だから違うからっ! あと何回説明しなきゃいけないんだ、いったい。
「違います、ついて来てくれただけで捕まえたわけじゃありません」
「ついてきた? まぁとにかく村のみんなも君の話が聞きたいだろうから
今夜はわたしの家で帰還パーティーをしよう」
「え?」
「じゃ、待ってるよ」
返事も聞かずにそう言うと、村長はみんなに振り返った。
「そういうことだから手が空いてるものは手伝ってくれ」
村の人たちはそれぞれ返事をした。
ああ、もう。なんで勝手に話が進んでくんだ。
なんだかすでに抵抗する気力すら残ってなかった。
結局、村の人全員が村長の家に集まり、帰還パーティーとやらが開かれた。
不本意ながらこのパーティーの主役はおれ。
ローフィルのときと一緒でみんながクレーフェンの谷での出来事を聞きたがった。
けどまぁ、生まれ育った村の人たちが相手だから、
ローフィルみたいに気を使う必要もない。だからありのままを話した。
上空から落ちて大怪我をした話をしたとき、
「1度死にかけたってそれか」
と、コンラッドが言った。
「そ」
「無茶すんなぁ、おまえ」
「別に無茶するつもりはなかったんだよ、反射的に体が動いちゃっただけで」
最初のコメントを投稿しよう!