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網から逃げようともがくファムに絡まるロープを無意識につかんでしまった。
そのまま、網ごと上空に連れていかれ、急上昇したときに耐えきれず手を離した。
当然のごとく左腕、左肩、左足骨折の大怪我。頭を打たずにすんだのと、
落ちた場所が柔らかい地面だったからその程度で済んだものの、
少しでもズレてたら岩場だったから即死してただろう。
「そんで怪我したから、ずっと帰って来れなかったってわけか」
「うん、治った頃にはもう真冬で身動きできなかったしね」
「色々あったのねぇ……」
母さんにしみじみ言われて良心が痛んだ。あとでちゃんと謝っておこう。
「で、そんとき捕まえようとしたのがファムなんだろ? 良くついて来てくれたなぁ」
「うん、おれもそう思う」
「おまえ昔から動物には異常に好かれるもんな、すでに才能だろ、それ」
「才能ねぇ……」
どんな動物が相手でもわりとすぐに仲良くなれるのは本当だった。
けど才能といわるとどうなんだろう。
「世界初の浮遊魚使いか、カッコイイよね」
ローフィルでも言われたけど、オラフにまで浮遊魚使いとか言われるとは思ってもなかった。
「浮遊魚使いとかそんなんじゃないし、やめてくれよ」
「なんで? ドラゴンに乗れる人が竜使いなんだから、
浮遊魚に乗れるディートは浮遊魚使いだろ?」
「なんか違うっていうか……、うまく言えないけどその呼び方好きじゃないんだ」
ちょっと上から目線なところが気に食わない。
「ん~、わかる気はするけどね、でもたぶんみんなそう呼ぶと思うよ」
オラフのこの予言は見事に当たることになった。
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