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聞こえる範囲にいるかわからないけどとりあえず呼んでみた。
「ファム!」
聞こえたらしく、少しの間を置いて上空から現れた。
「えぇぇぇぇぇぇ!!」
店主は仰天してファムを指差した。
「浮遊魚!!」
その大声で町の人も上空を見上げ、そこにいるファムに同じように仰天した。
「なんで、どうして、いったいどうなってるんだね!?」
そんな矢継ぎ早に聞かれても。
「クレーフェンの谷にいるうちに仲良くなって、一緒について来てくれたんです」
「仲良く……浮遊魚と……」
店主は信じられないといった表情だった。まぁ無理もない。
「それでこの前買った浮遊魚のウロコのことなんですが……」
「いやいや、そんなことどうでもいいから、もうちょっと近くで浮遊魚を見せてくれないか」
そのことを聞くためにここに寄ったんで、どうでもよくないんだけど。
でもまぁ、近くで見たいって気持ちは良くわかる。
「ファム、この人がおまえを近くで見たいんだって、もうちょっと降りてこれる?」
ファムはうなずき、なるべく低く、けど大人でもギリギリ手が届かない高さまで
降りてきてくれた。
そばにいた町の人全員が集まり、ファムに見入っている。
「まさか死ぬ前に本物の浮遊魚を目にできるとは……」
店主はいたく感激していた。
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